借地権の更新や更新料のトラブルが起こる原因と対策

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第三者の土地を借りて自分が所有する家や建物を建てられる権利を「借地権」といいます。賃貸物件のように建物を賃貸している場合には、2~3年毎に契約を更新するのが一般的ですが、土地に関しては期限が長いこともあり当事者同士で更新の手続きの話になるのは、契約してから長い年月が経ってからのことになります。

頻繁に行われる手続きではない借地権の更新は、立ち退きや更新料など何かとトラブルになりがちです。

借地借家法ができた背景

建物の所有を目的とした「借地権」は1992年に制定された借地借家法が適用されます。借地借家法では、契約の種類や期間、返還方法や更新について様々な規定が定められています。借地権に関しては、明治時代の地租改正まで歴史を遡る必要があります。

1875年の地租改正によって土地の売買が自由化され、課税方法などが変更になりました。そのため、広大な土地を所有する大地主が増える一方で、土地を借りる借地人も増加します。

その後、民法が改正されたのですが、当時の所有権絶対の原則により、その民法では地主の力が圧倒的に強く借地人の立場が弱いもので、地主から退去を求められれば借地人は立ち退かなければならないという状況を生み出してしまいます。

その後、地主の立場が強すぎることが問題となり、1909年に「建物保護に関する法律」が定められ、1921年に「借地法」と「借家法」が制定されて借主の保護が強化されました。

しかし、度重なる法改正で借主の立場が強くなった反面、貸主である地主にはデメリットが大きくなっていきます。そこで、借主と貸主の不公平感を是正する目的もあり、1992年に「借地法」「借家法」「建物保護に関する法律」の3つを廃止して新たに「借地借家法」が制定されました。

→借地権は売買できる?

なぜ今も旧法について語られるのか?

1992年に制定された借地借家法は新法と呼ばれ、1921年に制定された「借地法」「借家法」を旧法と呼びます。法律には「法の不遡及」という一般的な原則があり、法律が改正されたとしても、制定以前に契約したものは契約時点の法律が適用されます。

つまり、借地の契約を1985年に契約していれば、旧法が適用となりその効力は継続されていることになります。ただし、旧法の契約は更新時に自動的に新法に切り替わるわけではなく、新法で契約を結び直す必要があります。

現在は新法による契約の場合の借地権の更新はまだ少ない状態ではありますが、新法と旧法がどちらも存在しているためトラブルが起こりやすいといえます。

新法と旧法の違い

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旧法では契約期間は、鉄筋コンクリート造など堅固な建物は30年、木造などの非堅固な建物は20年、契約期間の定めがないものは堅固な建物は60年、非堅固な建物は30年とされています。更新期間に関しても堅固な建物は30年、非堅固な建物は20年、当事者の合意があれば長く設定できると定められています。

新法は、最初の契約期間は30年、初回の更新は20年、2度目の更新以降は10年と、建物が堅固かどうかという括りがなくなり、契約の更新時に契約期間が変化するものです。

旧法では、定められた契約期間より短い期間で契約しているとその契約は無効となり、契約期間中に建物が壊れた場合は壊れた時点で契約は終了と定められています。一方、新法では、定められた契約期間より短い期間で契約すると自動的に最小の契約期間の30年となり、建物が壊れてしまった場合に契約を終了するという規定はないという違いがあります。

新法の借地権は「普通借地権」「定期借地権」の2つに分かれます。「普通借地権」は旧法と同じように法的な更新が可能です。一方、「定期借地権」は存続期間が一般的には50年と定められていて、契約満了になれば地主に土地を返還するものです。

このような契約期間の違いや規定の違いが、返還や明け渡しなどに関して更新時のトラブルに繋がっています。

借地権の更新料の相場は?

借地権を更新する場合には、借地人が契約期間の満了時に更新を希望すれば更新できるケースが多く見受けられます。旧法も新法も、借地人の権利を保護する目的で作られた法律のため、貸主は「正当な事由」がなければ更新を断ることができないからです。

そして、ほとんどの更新において発生するのが更新料です。実は、借地権の更新料は貸主である地主と借主である借地人との契約で結ばれるもので、法律で定められたものではありません。土地や建物は、その時期によって価値が変動する可能性が大きいものです。

契約時には価値がない土地でも、時間が経てば周辺環境の変化などで土地の価値が大きく高まる可能性もあります。そんな時に、貸主と借主で更新の契約についてトラブルを防ぐために設定されたのが「更新料」です。契約する時に更新料を支払うことを決めておけば、貸主の利益と借主の権利を守ることが可能です。

借地の更新料は、法律で定められているわけではありませんが、更新時の土地の価格である更地価格に借地権割合を掛けた金額の3~5%が相場といわれています。借地権割合とは、借主が持つ土地全体の権利の割合のことで、土地がある場所などによって価値が決まります。

更新料に関しては、契約時に取り決めるものなのでしっかり確認しておくことが大切です。

→借地権を相続する際に理解しておくべきポイント

更新に関わるトラブルを防ぐには?

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借地権に関するトラブルは、法改正によって旧法と新法が混在していることや、貸主と借主の認識の相違によって起こることがおおいです。そのため、当事者同士が権利や義務をしっかり理解しておくことがトラブルを防ぐためには重要なポイントです。

借地権は借主が保護されていますが、建物の増改築などには貸主の承諾を得て承諾料を支払わなければならないケースもあります。以前に契約してあるものであれば、契約内容を確認し、更新時に新法で契約しなおすかどうかを見極めることも大切です。

借地の契約で更新料の支払いを明記していなくても過去に支払っている場合や支払うことが慣習化していた場合には、更新料の支払い義務が発生するという判例も過去にあるため、更新時には注意が必要です。30年以上も前の契約時と、経済状況も土地の価値も変わっていることが予想されます。

また貸主も借主も代が変わっている可能性も高いため、更新料について揉めることも少なくありません。日頃から、貸主と借主の間に良好な関係性を築いておくこともスムーズな更新のためには有効です。