借地権は売買できる?

相続29

借地権とは、簡単に言うと「第三者の土地を借りて、その土地に自分の建物を建てることができる権利」のことを言います。借りる人を借地権者、貸す人を地主や借地権設定者と呼ぶこともあります。借地権は相続の対象になったり、売買することも可能です。

ただし土地と建物の持ち主が違うため、注意しなければならないことも多くなります。

→借地権を相続する際に理解しておくべきポイント

借地権の基礎知識

借地権を持っていれば、借りている土地であってもその上に建物を建てることができます。ここで気を付けたいのが、借地権にはいくつかの種類があるということです。まず注目すべきが、土地を借りる契約を行った日です。

平成4年8月1日以前か以降かによって、適用される法律が異なるのです。平成4年8月1日以前に適用されるのは旧法(借地法)であり、以降に適用されるのは新法(借地借家法)となります。

旧法について

旧法が適用される場合は、建物の種類が堅固建物か非堅固建物という点によって、期間の定めや存続期間がことなります。堅固建物とは、石やレンガ、コンクリートで作られた建物のこと、非堅固建物とは木造住宅などのことを指します。

両者を比べると、堅固建物の方が期間の定めや存続期間は長くなります。契約する段階でどんな建物を立てるか決まっていない場合は、非堅固建物の決まりを基準に使用することになっていました。

新法(借地借家法)について

平成4年8月1日以降に結ばれた契約では、新法である借地借家法を適用することになります。この法律では普通借地権と定期借地権の2つに分類、さらに定期借地権を3つに分類しています。普通借地権とは、旧法と同じように法定更新が可能な契約です。

ただし、堅固建物と非堅固建物の区別はなくなっています。定期借地権とは、契約の段階で契約期間を決めておくことです。従来の借地権では、法定更新が認められているがために、土地を返してほしい地主と借り続けたい借地権者の間で更新にまつわるトラブルが多く発生していました。

定期借地権には法定更新が認められていないため、最初に決めた契約期間が満了すれば、借地権者は土地を更地にして原状回復を行い、地主に返還しなければなりません。定期借地権は一般定期借地権、建物譲渡特約付借地権、事業用借地権の3つに分類されます。

少し特殊なのが建物譲渡特約付借地権で、契約終了時に地主が借地権者から建物を買い取ることで借地権が消滅する仕組みになっています。

借地権を売買するには?

借地権は売買することができます。ただし、持ち主はあくまで地主なのですから、売却する際は地主の許可を取らなければなりません。自分の意思だけで自由に売ることはできないことを覚えておきましょう。また、誰に売却するかによって売却方法が変わってくるので、その点についても知っておく必要があります。

地主に売却する場合

借地権を売却したいと考えた場合、その第一候補は当然地主になります。その土地はそもそも地主の物なのですから、買い取ってもらうのが一番自然な流れだからです。交渉する先が実際に買い取る人になるのですから、地主との関係が良好で問題もない場合は、交渉はスムーズに進むことが多いです。

ただし、金額によっては買取が難しいケースもあるため、無理に交渉するのは禁物と言えるでしょう。

第三者に売却する場合

地主による買取が難しい場合、第三者に借地権を売却する方法が考えられます。この場合の第三者とは、個人だけではなく不動産会社なども含むことになります。不動産会社によっては、借地権売却を専門に行っているところもあるため、そうしたところに交渉から売却まで依頼することも可能です。

専門家の助けがあれば、売却が成功する可能性も高くなるでしょう。借地権を第三者に売却する場合、地主に許可を取る必要があります。必要な許可は譲渡の承諾だけではなく、建物建て替えの承諾や、抵当権設定の承諾など多岐に渡るため、密な交渉が必要になります。

借地契約の条件に関しても話し合わなければなりません。承諾が得られたら、借地権者は地主に対して承諾料を支払うのが一般的です。承諾料は借地権売却価格の1割ほどが相場となります。

→借地権割合とは何だろう

地主が持つ権利「介入権」とは?

借地権は第三者にも売却することができますが、地主には「介入権」という権利があるため、地主を無視して売却することはできないのです。介入権とは、借地が無暗に売却されることを防ぐための権利です。借地権が第三者に売却されそうな場合、地主が優先的に買い取ることができると法律で定められているのです。

言い換えると、地主が借地権の買取をしないと決めて初めて、第三者への売却を検討することが可能になるのです。地主に売却するより第三者に売却した方が高く売れる、という場合でもこれは変わりません。順番を間違ったために法的なトラブルに繋がることもあるため、注意する必要があります。

地主が売却を許してくれないときは?

地主の中には、借地権の売却を認めてくれないというケースがあります。この場合、借地権者は裁判で許可を得ることで、第三者に借地権を売却することができます。仮に地主が介入権を行使するなら、このタイミングになります。

裁判で許可を得たとしても、売却によって得られるお金は小さくなる可能性が高いです。裁判までもつれたということは、借地権者と地主の仲がかなりこじれているということ。これが売却価格が低くなってしまう理由です。

例えば不動産会社が借地権を購入する場合、借地権を得た土地の上に新たにアパートなどを建て、土地活用のための付加価値を付けてから新たに借地権転売をしようとしていることがほとんどです。

しかし不動産会社が借地権を転売する場合は、地主に融資承諾書をもらわなければなりません。元の借地権者と関係が悪くなっていた地主が、すぐ融資承諾書を出してくれることは稀です。融資承諾書は裁判によって強制的に出してもらうこともできないので、地主が拒否するとなれば不動産会社は転売によって利益を出すことが難しくなります。

つまり借地権者と地主の仲がこじれている借地権を購入しようとする不動産会社は、ほとんどいないということです。買手が見つからなければ当然売却は難しくなるため、値段を下げるしかなくなってしまうのです。借地権者と地主の関係は、借地権売却に大きな影響を与えることを覚えておかなければなりません。